投資のためのデータサイエンス

個人の投資活動に役立つデータ分析にまつわる話題を綴ります。

もっと知る統計

もっと知る統計:効用と価格指数

我々が消費をするのは、空腹を満たすとか楽しみを得るといった「効用」を得るためである。 「近代経済学においては、物の価値を効用ではかる効用価値説を採用し、消費者の行動は、予算の制約の下で効用を最大にするように消費するとされる。また利潤の最大化…

もっと知る統計:ワルド検定とスコア検定

最尤推定量に関連した検定として、「ワルド検定」と「スコア検定」という検定がある。時たま見かける程度であるが、今回これらの検定統計量について整理してみた。大雑把なイメージは以下の図のようになる。 尚、前回登場した「尤度比検定」も一緒に論ずるべ…

もっと知る統計:I×J分割表と対数線形モデル

前回取り上げた2×2分割表をより一般化したものが、I×J分割表であり、さらにI×J×K分割表といったより高次元の分割表へ拡張される。このような分割表を分析するモデルとしては、以下に述べる「対数線形モデル」がある。私はこのモデルを学生時代に主と…

もっと知る統計:ノンパラメトリック検定問題

統計学において「ノンパラメトリック」とは特定の分布を仮定しないということであるが、どのようなものかはなかなか分かりにくい。 以前に例として取り上げたテストの得点の一部を抜粋し、以下に述べる「中央値の差の検定」を実施してみた。 明らかに英語の…

もっと知る統計:マクロ経済モデルにおける回帰(3)

最近、小規模起業家の人と会う機会があったが、そのような人達のほとんどは、マクロ経済のトレンドがどのようになっているかなどは気にせず、「ポジティブ思考で突っ走る」というスタイルで、現実にかなりの人が成果を出している。実際に自分がその立場なら…

もっと知る統計:マクロ経済モデルにおける回帰(2)

今更ではあるが、以下の3つのグラフを見ると、日本経済がバブル崩壊とともに失速し、その後の僅かな成長も多大な借金によって無理やり創造されているのではないか、という感を強くする(データ出典はいずれもIMF World Economic Outlook)。 上記のデータを…

もっと知る統計:マクロ経済モデルにおける回帰(1)

もっと知る統計:マクロ経済モデルにおける回帰(1) 昨日、今年度4月~6月期のGDP速報が発表された。消費税増税にともなう駆け込み需要の反動は当然予想されたが、それを考慮しても消費の低迷は気になるところである(下の図の出典は日経電子版)。 このGDPの…

もっと知る統計:多変量正規分布(2)

もっと知る統計:多変量正規分布(2) 多変量正規分布について復習をしていたら、前回よりもさらにややこしい課題があることがわかった。それはn個の観測値の総和が与えられたというもとでの、そのn個の変数の一部の条件付き分布である。前回のケースでは変数…

もっと知る統計:多変量正規分布

もっと知る統計:多変量正規分布 このところ、データ読み解きの事例として使えそうな最近の話題が見つからないので、再びややこしい統計理論の整理を行うこととする。 今回取り上げるのは「多変量正規分布」である。2次元では下のような形をしている。 そも…

もっと知る統計:統計的検定(4)

もっと知る統計:統計的検定(4) 連日暑い中、統計的検定論に踏み込んでしまったが、今回で一応一区切りつけられる。 尚、前回まで事例として取り上げた「正規分布において分散が未知だが等しいと仮定した平均の差の検定」も「一様最強力普遍検定」になるとの…

もっと知る統計:統計的検定(3)

このシリーズは今回で3回目だが、仮説検定論に真正面から取り組むことになってしまった。 前回の例である1組と2組のテストの平均得点の差の検定(分散は未知だが等しいと仮定)のエクセルによる計算結果は以下の通りである。尚、これを実施するためには、あ…

もっと知る統計:統計的検定(2)

前回の記事で例として示した1組と2組のテストの得点の分布を箱ひげ図で示すと以下のようになる。 この2つの分布のようすから見て、実務的に、分散が等しいと仮定することは問題ないであろう。 そこで、このデータについては、「分散が未知だが等しい場合の正…

もっと知る統計:統計的検定(1)

もっと知る統計:統計的検定(その1) 今回は、「一様最強力不偏検定」について整理したい。しかしそのためには、「仮説検定」についてひと通りおさらいする必要がある。 例として、ある学校における2つのクラス(各40名)の、同じテストの得点が以下の通りで…

もっと知る統計:デルタ法

もっと知る統計:デルタ法 統計についてひと通り復習していると、「デルタ法」について書かれている書籍が意外と少ないので探すのに苦労した。そのため今回はデルタ法についてまとめておきたいと思う。 尚、デルタ法は下に書かれているようにあくまで近似で…

もっと知る統計:回帰の分散分析

前々回、前回と同じく、賃貸マンション家賃の変動要因分析結果の表を示す。今回は、掲載し忘れていた重相関係数Rの値も追加した。 今回はこの表の下段の部分の数値について説明する。大抵の統計ソフトウェアには回帰分析機能でこの分散分析の表も表示される…

もっと知る統計:回帰係数の平均と分散

前回までに取り上げた賃貸マンション家賃の分析結果を再掲する。 上の表で、「偏回帰係数」の右隣にある「標準誤差」はどのように計算されるのか?ここでは単回帰分析の場合について見てみよう。以下のように、結構込み入った式になる。これはbをεで表わして…

もっと知る統計:単回帰モデルの定式化(1)

もっと知る統計:単回帰モデルの定式化(1) 前回の記事で、下記の賃貸マンション適正家賃予測式の推定結果を紹介した。 ここでは、まず(偏)回帰係数の求め方について整理する。とりあえず基本となる、説明変数が1個だけの「単回帰分析」の場合を扱う。説明変…

もっと知る統計:カイ二乗分布(2)

今回は、前回の続きで、ガンマ分布の特性値からカイ二乗分布の特性値を求め、標準正規分布の二乗和がカイ二乗になることを、積率母関数の一致により示す。書いていて、重要な分布についてはその基本をしっかりおさえておくことは重要だと感じた。 ※数式の体…

もっと知る統計:カイ二乗分布(1)

もっと知る統計:カイ二乗分布(1) 今回より「もっと知る統計」シリーズを並行して連載いたします。内容はテクニカルですが、大学の先生が書かないような実務面も記述していきます。 ワールドカップ関連のブログで、「カイ二乗分布」を扱った。このカイ二乗分…