投資のためのデータサイエンス

個人の投資活動に役立つデータ分析にまつわる話題を綴ります。

毎月分配型投資信託

投資信託の現状は

余裕資金があり、多少なりとも経済に興味がある人ならば、資金を銀行の普通預金や定期預金に預けているのでは物足りなく、よりハイリスク・ハイリターンの資産運用を志向するであろう。そのような個人投資家が手軽に投資できる対象が投資信託である。

投資信託については、原則として購入時に「購入時手数料」がかかる(購入時手数料がかからない「ノーロードファンド」も一部ある)。この購入時手数料やその他の収益金から控除される費用がかなりあるため、「投資信託は儲からないからやめた方がいい」とする専門家も多い。

しかしそれならば自分で株式投資をするのはどうかと考えてみる。これも多くの専門家が指摘することだが、特定銘柄に投資するターゲット運用の投資収益は、ほとんどの場合TOPIXなどに連動するインデックス運用を(長期的・平均的に)上回ることはない。

毎月分配型投資信託を選ぶべきか

投資信託のファンドの中には、毎月決算時に分配金が発生する「毎月分配型」と毎月分配金は出さない「成長型」いうのがある。この毎月の分配金についても、元本に組み入れて運用する(累投)形と、MRF普通預金などに払い出す形を選択できる。

「毎月分配型」は毎月キャッシュが手に入るので、特に退職後のシニア世代には人気が高い。十分な蓄えを持っていても、やはり資産が単に減っていくことに不安を感じるのが普通の人の心理であろう。現役時代の給与ほどでなくても、毎月キャッシュが手に入ることは安心感を与えてくれる。賃貸不動産のオーナーになる不動産投資もこの心理に訴えかけるものである。

しかし投資信託の分配金は運用成績に関係なくある程度決まった額を分配するため、必ずしも運用収益を分配するものではなく、元本を削って分配金を捻出しているケースも多い。シニア世代には「それは知っている。たとえ自動貯蓄取り崩しシステムであっても毎月分配型投資信託の方がいい」と言っている人もいる。公的年金が今後どうなるかわからないという不安もあり、この「毎月のキャッシュインの安心感」はシニア世代には相当大きな効果がある。だが私も実際に受取額の推移をチェックしているのでわかるが、分配金の額はここ数ヶ月で軒並み減額されている。元本へのダメージが大きくなりすぎたためのようである。

金融資産の「見える化」で不安の軽減を

私も当初は毎月分配型にこだわって投資していた。しかし毎月の家計収入と支出を記録し、月末に金融資産残高を調べて前月からの増減をチェックするなど「見える化」を徹底的に行えば、保有資産の食いつぶしの不安はかなり軽減すると考えている。それゆえ最近は成長型の投資信託に重点を置いている。

本年4月には、金融庁の森長官が、「日本の投資信託は販売・運用サイドの都合のいい商品がほとんどで、真に顧客本位になっていない」と苦言を呈する講演を行った。余剰資金の受け皿としての投資信託の健全化を切に望むところである。