投資のためのデータサイエンス

個人の投資活動に役立つデータ分析にまつわる話題を綴ります。

電子書籍個人出版の現状

土曜日に公開講座で「電子書籍の現状と独自出版の仕方」の話を聞いた。

確かにKindleでの出版は MS Wordで原稿を書き、無料で出品できるので紙の時代の自費出版に比べればITにより書籍を世に出す垣根は格段に低くなったといえよう。

しかし少し考えればわかるように、ネット言論はブログ、メルマガ、SNSなど多種多様であり電子書籍はその一形態にすぎない。長編を執筆して是非とも「世に出したい」のであれば電子書籍になる。ただ、SEOなどのマーケティングの工夫の余地はあまりない。出品した本が売れるのは宝くじに当たるようなものだろう。Kindleよりも「エブリスタ」のような投稿コミュニティサイトの方がプラットフォームとしてはおもしろそうである。ここでは大ブレイクした作品もある。これからはわざわざ専用電子書籍バイスを持ち歩く人も減り、電車の中などでスマホで読むスタイルにさらに特化するであろう。スマホで読みやすいフォーマットが主流になることも容易に想像できる。

「電子書籍情報まとめノート」はよくまとまったサイトである。この中にある「紙の出版の現状」を見ればわかるように書籍市場は近年縮小している。その苦境を打破すべく発行点数は増加している。電子書籍は伸びているが大部分はコミックである。自分も「Kindleマンガモデル」を購入したのを契機にコミックのダウンロードもして読んでいるが、手軽で楽しい。

私は前職で「我著す、故に我あり」を標榜していた大先生に仕えていた。確かに公共図書館でその先生の名前で検索すると100件以上ヒットする。出版社もその実績からあまり売れる見込みがなくても出版要請に応じていたようである。しかし実態は近年出版した本の多くは最低部数も売れず、売れ残りを後生大事に自分で抱え込んでいた。どんでもないアイデンティティの行き着く先はやはり惨めなものである。