投資のためのデータサイエンス

個人の投資活動に役立つデータ分析にまつわる話題を綴ります。

年金受給に備えてすべきこと

1.年金セミナーの受講

某金融機関主催の年金に関するセミナーを受講した。内容は主として公的年金の受取に関するものである。公的年金に関してはファイナンシャルプランナー受験テキストでかなり勉強したつもりだったが、知らないことがいくつかあった。

講師の社労士の先生が「仕事柄、街中などで他の人が年金についてのおしゃべりをしていると聞き耳を立ててしまうが、内容が正しいことは一度もなかった」と話していた。それほど年金制度は込み入っていてまた誤解も多いということである。

2.サラリーマンや家族が年金受給に備えてすべきことは

サラリーマンの場合は一階が「国民年金」、二階が「厚生年金」という二階建て構造になっている。今回のセミナーは二階建て構造について知っているという前提だったが、私も退職直前までちゃんと理解していなかった。さらに言えば三階に厚生年金基金企業年金が位置づけられる。尚、公務員などの共済組合は平成27年10月に形式的には厚生年金に統一されたが、現在は過渡期で、年金受給開始時の年金請求書等の書類は共済組合への提出となる。また男性と女性で受給開始年齢が異なるのは厚生年金のみで、共済組合の場合は厚生年金の男性と同じになる。これも現在過渡期であり、男性なら昭和36年度生まれ以降は65歳から支給に一本化される。直近の制度変更としては、これまで原則として25年だった年金受給資格期間が10年に短縮される(H29.8月より)。そのため年金事務所は今大混雑だそうである。

一階と二階部分の将来の受給に関して現役サラリーマンやその家族がすべきアクションはあまりない。強いて言えば「ねんきん定期便」がちゃんと届いているか確認すること、自分の将来受け取れる年金額を把握してライフプランニングに反映することである。受給開始年齢の変更は現役時代に考える必要はほとんどないが、開始年齢の引き下げは受取額の減少が生涯続くので、病気などよほどの特殊事情がない限り得策ではない。逆に開始年齢を引き上げて受取年金額を上げることも、長生きの自信がある一部の人にとってのみ得策であろう。

3.受け取れる年金額は

サラリーマンが将来受け取れる公的年金の額は、現役時代の給与水準やキャリアパスなどによって異なる。今回のセミナーのテキストにある、昭和モデルの夫婦(夫が大卒後会社員で年金受給開始まで勤務。妻は5年間(結婚前)厚生年金加入、国民年金に32年間加入)の場合の二人の受取年金月額の合計は約26.5万円である。ただしこれには配偶者加給年金が含まれており妻が65歳以降は若干減るはずである。一般に言われているリタイア後のゆとりある生活の必要経費は夫婦二人で月額36.6万円である。このギャップ月額10.1万円は三階部分か貯蓄の取り崩しで賄うしかない。三階部分をいかに充実させるかが現役サラリーマンの最大の課題であることは論をまたない。