投資のためのデータサイエンス

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身近な統計:消費者物価指数とラスパイレス指数

身近な統計:消費者物価指数ラスパイレス指数(1)

経済指標としてよくニュースなどで報じられるものに「消費者物価指数(CPI)」がある。これは消費者物価全体の水準が基準時点に対してどれくらい上下したかを表す指数である。この消費者物価指数の計算方式には複数の方法があるが、一般的に用いられているのが、本稿の下の方の式で示される「ラスパイレス消費者物価指数」である。

ちなみに、以下の日本と米国の近年のCPIを比較すると、いかに日本のCPIの変化が少ないかがわかるであろう。

日米CPIトレンド

しかし「ラスパイレス指数」というと、地方公務員の国家公務員に対する相対的な給与水準の指数をまず連想される方が多いであろう。かくいう私も恥ずかしながら数年前までは「ラスパイレス指数」というと下の意味合いしか知らなかった。

消費者物価全体の水準を見るためには、Σ価格*数量で算出される(種々の品目の)合計金額の推移を比較することが必要になる。基準時点を0、注目する時点をtとしたとき、この合計金額を算出するにあたって、時点0の数量を用いるのが「ラスパイレス指数」、時点tの数量を用いるのが「パーシェ指数」である。(文献2)に書かれているように、数量の調査は価格の調査よりも手間がかかるため、ずっと同じ時点0の数量を用いるラスパイレス指数の方が一般的に用いられる。

これが公務員の給与水準の比較の場合は、「時点0」が「国家公務員」に、「時点t」が「地方公務員」に、「価格」が「給与の額」に、「数量」が「人員数」に、「品目」が「職位」にそれぞれ置き換わる。ラスパイレス指数の基本式を用いることに変わりはない。

(文献2)中村隆英、新家健精、美添泰人、豊田敬著「経済統計入門」東京大学出版会

経済指数1