投資のためのデータサイエンス

個人の投資活動に役立つデータ分析にまつわる話題を綴ります。

【焦点】ポジティブ思考の重要性(その1)

我々の日常の思考や感情は「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」に分けられると考えられる。「ポジティブ」には、希望、成長する意欲、楽しい、面白い、幸福感、満足感、などがある。「ネガティブ」には、怒り、不安、恐れ、憂慮、批判、嫌悪、罪悪感、などがある。

ほとんどの人は、「思考をしている」のが本当の自分だと思っている。しかし心理学者やセラピストは、自分の普段の生活で沸き上がってくる思考(自動思考)を客観的に観察することを勧める。認知行動療法などがそうである。この自動思考を客観的に観察すると、擦り切れたレコードのように、同じことが何度も何度も頭に浮かび上がってくることがわかる。

スピリチュアル・リーダーとして有名なエックハルト・トールは、「自分の思考を観察しているのが本当の自分である。過去や未来は存在しない。それは思考の産物にすぎない。我々が時間といっているのは心理的時間である。現実にあるのはいまだけである」と説いている。

実際に自分の自動思考を観察していると、そのほとんどがどちらかといえばネガティブである。他人と比較して自分の「エゴ」を増強したり、他人の欠陥をあげつらったりしていることが非常に多い。自分と他人を比較して優越感にひたるのは一見ポジティブのようにきこえるが、これは他人の批判(見下し)で完全なネガティブ思考である。英語でいうSelf Esteemは、自分と他人を比較するのではなく、自分の価値や潜在能力を肯定的にとらえることである。「自尊心」という和訳はあまりそぐわない。また、「自分はAが欲しい」(この場合のAはモノやお金よりもむしろ「理想の体型」や「心の平安」などが当てはまる)という思考は、「自分には今Aが欠けている」というネガティブ思考である。

ネガティブ思考をできるだけ避けるべきである最大の理由は、それ自身が身体に悪い影響を及ぼすからである。昔から「長生きの人にはよく笑い、楽観的な人が多い」などと言われるが、ネガティブ思考は身体の免疫力を弱める。またストレス反応として蓄積すると精神疾患などにつながる。車の運転中などによけいな思考をしていると注意が散漫になり、事故リスクが高まる。ネガティブ思考は百害あって一利なしなのである。しかしネガティブ思考が浮かび上がるのは、長年にわたって親や先生から言われてきたことや自身の挫折体験から、脳に「プログラミング」されたものともいえるので、意識的に思考の沸き上がりを抑えることはむずかしい。米国では心理学をベースとして、潜在意識に働きかける「アファーメーション」が広く行われており、オーディオCDなども多数発売されている。

一見して不運なこと、つらいこと、などでも、「災い転じて福となす」というように結果としては自分にとってプラスだった、ということは多い。英語ではblessings in disguise(変装している祝福)という。だから苦難に直面した場合、「これこれを見れば自分にとってプラスとなる」とポジティブに解釈することが大事である。

他人に変化を求めるのはほとんど不可能なので、他人の批判をしてもネガティブ思考で自分の健康を損ねるだけである。他人のことはさておき、自分が前を向いて進んでいくしかない。