投資のためのデータサイエンス

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雇用関係によらない働き方に関する アンケート調査結果

経済産業省経済産業政策局 産業人材政策室が最近発表した、 「雇用関係によらない働き方に関する アンケート調査暫定結果」が興味深い。

まず、この調査は経産省が委託実施している。これはある意味当然である。労働問題を所管するのは厚労省であるが、厚労省ハローワークに見られるように、「雇用される働き方以外は邪道」という基本政策を維持している。
「雇用関係によらない働き方」のみを実施している(つまり私のようなフリーランスで主たる生計者)では、平均で32.4時間働き、300万円台の年収を得ている。もちろん300万円以下ではまともな生活ができないので当然だが、雇用の場合フルタイムで週38時間と少しなので、トータルとしては結構な時間働いている。ただし通勤はほとんどないであろうし一日24時間のどこでも使える。
この形態を選んだ理由として「自分のやりたい仕事に集中したいから」が最も多いこともうなずける。特に日本式雇用は欧米のようなジョブ・ディスクリプションがないので、職務の範囲があいまいである。私も前職(非正規)では「研究補佐」として職についたが、結局お茶くみ以外の全ての雑用をこなした(お茶くみは「男性がやったら来客者が訝しむ」ということで免除してもらった)。これが日本では普通なのである。フリーランスはそのような雑用から完全に解放される。
また、柔軟な働き方に満足している理由として次に多いのが「人間関係の煩わしさがないため」「家族との時間、育児や介護の時間がとれるため」(両者ほぼ同じ)である。これも痛いほどよくわかる。私も正規の職場では主に人間関係で2回メンタルを悪くした。前職でも数で主流のパート主婦が結束していて、自分は孤立状態だった。母親の介護は仕事よりも優先順位が高かった。
不満の理由としては収入面で「昇給がない、安定しない」が圧倒的に多いが、これも当然である。会社の安定的な給料は、会社への忠誠と長期的コミットメントへの対価である。やはり海外のように転職してキャリアアップをするようなシステムの方が日本式よりずっといい。
「もはや日本式終身雇用制度は崩壊した」とはネット論壇ではよく言われるが、マスメディアは未だに終身雇用の正社員が記者やアナウンサーを勤めており、終身雇用制度が当たり前だった現シニア世代はマスメディアしか見ない人が多い。しかし、厚労省がいくら日本型雇用の牙城を守り抜こうとしても、非正規で働く若者は増え続け、雇用システムは世界のスタンダートに近づいていくであろう。
より柔軟な働き方により寛容な社会に変容していくことを願うばかりである。 (追伸) 本日配信されたネット記事「キャリアを捨てる働き方-定年シニアが生き残るには-」も非常に興味深い。小生はこのようなシニア求人のミスマッチ状況を身をもって体験してきた。