投資のためのデータサイエンス

個人の投資活動に役立つデータ分析にまつわる話題を綴ります。

テーマパークとベストプラクティス

当方、13日~14日の1泊2日でディズニーランドへ行った(正確にはディズニーシーに行かされた)。だが自分の関心はもっぱらビジネス面である。

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日本のレジャー施設市場は東京ディズニーリゾートの一人勝ち状態になって久しい。2013年度売上高もオリエンタルランド3,955億円に対して2位のUSJは821億円と5分の1強に過ぎない(会社四季報2014年版業界地図より)。無論フォロワーも手をこまねいてはいない。USJ本日ハリーポッター・テーマパークをオープンさせた

しかしディズニーのコンテンツは質・量とも他を圧倒している。ルーカスフィルムも傘下におさめ、最も最近では「アナと雪の女王」が大ヒットになり、衰えるところを知らない。それに対して、すでにV字回復を成し遂げたUSJハリーポッターでどこまでディズニーランドに近づくかが注目される。

ディズニーランドが混雑しているのは当然だが、自分はアトラクションやショーの演出よりもどうしても来場客のデモグラフィック特性に関心を持ってしまう。今回は海外からのゲストが結構多い感じがした。以前は中国が圧倒的だったが、今回は中国もいるものの、西洋からのゲストも以前よりやや多い印象を持った。数字を調べると、「訪日外国人数は今年1~5月で520万人を突破と過去最高のペースで推移。年間では昨年を大きく上回る1,200万~1,300万人程度が見込まれる」(上記ハリーポッター関連記事より)。

しかしこのTDRの圧倒的市場シェアを「コンテンツ」や「首都圏立地」だけで片付けていいのだろうか?レジャー業界のみならず広くサービス業界がオリエンタルランドに学ぶことはあるはずである。もちろん「マニュアル化やキャストのホスピタリティ」「周囲の景観を遮断し別世界を体験できる」「地下通路などにより裏方の活動をゲストに意識させない」などすでに他社が学び取っている面も多々あるであろうが、今一度「ベストプラクティス」から如何に学ぶかについて考えてみたい。

【グッドプラクティス,ベストプラクティスとベンチマーキング】

「グッドプラクティス」「ベストプラクティス」に関して厳密な定義はない。しかし、「ベストプラクティス」と「ベンチマーキング」は常に一体的に用いられることは確かである。「ベスト」なものを探す課程で、実践(プラクティス)を評価するベンチマーキング活動を行っていることになる。

グッドプラクティスやベストプラクティスの検討において頻繁に用いられる語は、「適応的」「一貫的」「測定可能な」「パフォーマンス改善を提供」「文書化」「模範的な」「プロセスベース」「優れた結果を出す」「リピータブル」「標準化」「戦略的」「システム化されたプロセスから抽出」「うまく提示されテストされる」がある。

ベストプラクティスやベンチマーキングにおいて多くの著書があるロバート・キャンプ氏は以下のように記述している(同氏の著書の用語集を筆者が直訳)。

『単一の「ベストプラクティス」というものはない。なぜなら全ての人にとっての「ベスト」は同じものではないからである。どの組織もなにかしらの点で異なる(ミッション,文化,環境,技術等)。かかる実践で「ベスト」とされる意味は、優れた成果を生み出すことが示される,システマティックなプロセスにより選ばれる,模範的で良好でそしてうまく実施されている,と判断されるということである。ベストプラクティスはその後特定の組織に合うように適応される。』

(続く)