身近な統計:賃貸マンションの家賃の決定要因は?(回帰分析1)
7月1日に新しい路線価が発表された。最近の我が家の周辺の人口動向を見ても、首都圏では都心部への一極集中が加速しているようである。
自分も昨年より不動産賃貸を始めた。いろいろ調べたり実際にテナント募集をした結果分かったことは、昨今の不動産賃貸市場は不動産オーナーにとっては非常に厳しい、ということである。
賃貸物件であれ購入物件であれ、マンションの価格はその広さに比例するであろうことは誰でも想像できるであろう。その他、路線価にも反映される「立地条件」、具体的には、どこの沿線か、都心部からどの位遠いか、駅から徒歩何分か、などがぱっと思いつく価格決定要因であろう。
昨年秋、私は自分の物件の適性家賃を評価するために、オーナー代行管理を委託した不動産会社の扱っている賃貸マンション物件をサンプルとして、適性家賃予測モデルを作成した。手法的には、基本的な線形重回帰モデルである。今回は、まず最初に分析結果を述べ、その後重回帰分析について解説する。
まず、不動産会社は「平米当り家賃」を日常的に使っている。つまり他の条件が同じならば家賃は物件の広さに比例する、ということである。そこで、この分析でも、被説明変数として「平米当り月極め家賃」を採用し、物件の広さは説明変数には含めないこととした。又、自分の物件が一応駅から徒歩圏内なので、サンプルとして徒歩圏内の物件のみを用いた。また、40平米以下の小規模物件と、いわゆる「一等地」の物件も、自分の物件とは別のカテゴリーと判断して除外した。
説明変数としては、当初は「駅から徒歩分数」「築年数」「北向きダミー」を用いたが、北向きの物件は特殊ケースであることがわかり、北向きの物件を除外して同ダミー変数も外した。結局サンプルサイズは60で、重回帰モデルのあてはめ結果は以下のようになった。
被説明変数が平米当り家賃なので回帰係数が解釈しづらいが、例えば65平米の物件の場合、(他の条件が同じならば)駅からの徒歩時間が1分長くなると家賃が33.75×65=2194円下がり、築年数が1年多くなると家賃が17.92×65=1165円下がることになる。詳しい計算結果についての解説は後日行うこととしたい。
尚、後で不動産賃貸に関する本を読んでわかったことだが、そもそも広告に出されている物件は「まだ売れていない」あるいは「売れ残っている」物件であり、実際に成約してテナントが入居している物件の家賃はこれよりも安くなる。実際に自分の物件の場合も、この予測式よりも実質2万円以上安い家賃でやっとテナントが見つかった。